価格だけが変わっていたり,規約の1行だけが変わっていたり,リンク先だけが変わっていたり,「ある」が「ない」にだけ変わっていたり……。
米国ヤフーは,ハッカーの侵入によりニュース記事が改竄されたことを認めた。改竄をしたハッカーであるエイドリアン・ラモは,「ヤフーのセキュリティーが低下していることを知らせるためにやった,他のニュース記事も改竄している」と話している。この改竄されたニュース記事は,面白半分と思われる部分もあるが,事実と信じてしまいそうなものもある。
ウェブサイトの改竄なんて珍しくもない昨今,だが,もっとも怖いのは改竄されたと気付かないような改竄だ。一目みて全然違うページになっているなんてのは,たいした影響はない。驚く人はいるだろうが,そこに書かれている内容は,修正されるまでなんら影響を与えない。だが,ぱっと見はなにも変わっていないのに,数字がちょっとだけかわっている,語尾がちょっとだけかわっている,という場合は大きな損害を生むかもしれないし,おおむね事態はやっかいなことになる。エイドリアン・ラモのクラッキングは,そんな意味で非常に危険だ。
そっくりなのに,どこか違う。目の力の違い,笑ったときの口元の違い,言葉の覇気の微妙な違い,メモリチェックの音を聞き分ける耳の違い…。どこかホムンクルスをみているような,作り物のような輪郭の違い。でも,なんにも変わっていない。指摘できる違いなんてなにもない。唇も,体も,その違いを表わさない。その,アヤウサ。アヤウサ。アヤウサ。
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